水色のなかま

このブログはフィクションです。物語の設定は主人公の紹介をご覧ください。

第1章 きっかけ 死後の世界はあるみたいだね

書こうか書かまいか迷ったんだけど。

 

お葬式に行ったんだ。

祖父のお葬式、そんなには気が合うほうじゃなかったけど、遊びに行くとよくお小遣いをくれた祖父、享年90才だった。

お葬式が始まると、死んだはずの祖父の声が聞こえた気がした、というか、頭に入ってきたイメージというか、頭で考えた時に言葉に変換する自分の独り言のように、祖父の気持ちが、入ってきたんだ。

 

祖父は言っていた。

い人生だった、苦労もしたけど子ども三人育って、孫もできて元気で、子どもたちにこんなふうに見送られるなんて幸せの境地だ、…明るい光の中で、自分の先行く兄弟たちや地元の幼馴染たちがみんなで俺を取り囲んでいる、…まあちゃん、死んでも終わらないよ、死後の世界があるってことをみんなに伝えてほしい、この後俺はこの人たちと一緒に次に行く、あ~聞こえてくる、ありがとうの声の重なりが、俺が生前こんなにも人に感謝されてきたとは思わなかった、…ああよかった、やってきてよかった、生きてきてよかった、自分で生まれてよかった・・

そうして、祖父が大勢の人たちと、にぎやかに笑って話をしている声が聞こえてて、オレンジの光の中にいる祖父とみんなが、見えた気がしたんだ。

 

そう、どうやら死後の世界というものは、本当にあるらしい。

死んだら、これまで自分がやってきたことや、配った愛に対する感謝の気持ちの全部が、今まで自分がいた世界から聞こえてきて、その声に縦横無尽に取り囲まれる、気持ちのいい虹色のひかり。

だから、生きていて報われないからと言って、悪に染まるのは早計で、人生の最後には絶対に報われるんだから、やっぱり真実の愛を貫き、誠実に、まじめに生きることがいいんだって、祖父は、言いたかったのかな。

僕は、ほっとした。

やっぱり、人を愛して報われないことなんてないんだ。なら、自分らしく生きようって強く思った。

 

そして、ふと思った。

祖父は死んだら、祖父自身がずっと大切にしてきた、生家の家族や地元の仲間たちに囲まれていたが、自分はだれに囲まれるんだろうって。

僕は、だれに囲まれたい・・?

僕は、たぶん、人間じゃない気がする。なんとなくだけど、僕も、実は、人間じゃないから。